安全性指標(DCR、LTV)で評価する、不動産投資分析

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不動産投資を検討している方で、表面利回りを知らない方はほとんどいないと思われます。
それでは、「DCR」(若しくはDSCR)、「LTV」をご存知の方はどれほどいるでしょうか。
今回は収益性と同じく重要な投資の安全性について解説します。

切っても切れない、不動産投資と融資の密接な関係

不動産投資を始めるきっかけの多くは、「給与所得以外の収入(家賃収入)を確保しておきたい」、
「将来の年金が不安だから私的年金を作りたい」、「周りが始めているから」などといった漠然とした将来の不安からくるものがあげられます。
その不安を解消する投資対象として注目を帯びているのが、不動産投資です。

不動産投資のメリットは多くの場合、月々の家賃収入や実物資産であることの安定感、生命保険の代わりになったり、少ない資本でより大きな投資が出来たりすることです。
近年ではインフレ政策として金融緩和が続いており、金融機関も資金の運用先として実物資産である不動産融資に積極的になってきています。
そこに将来への漠然とした不安を募らせた投資意欲のあるサラリーマンが出会い、今まさに不動産投資が盛り上がりを見せているのです。
しかし、最近不動産投資を始めた方はご存じないかもしれませんが、金融機関が不動産投資に積極的に融資付けするようになったのは、景気が上がってきた最近だけのお話です。

今では一定以上の所得があるサラリーマンであれば、1億円のアパートを購入することが出来ます。
一方で2012年頃までは、リーマンショックを契機とした市場の冷え込みにより金融機関が融資に消極的だったため、
多額の金融資産をもつ投資家だけしか投資をする事が出来ませんでした。
例えば、1億円の新築アパートを購入する場合、販売価格の3割程の自己資本を入れる必要がありました。
つまり、不動産投資では自己資本と融資枠よって投資可能な規模・範囲が決まるわけです。

不動産の利回りと融資条件の関係と推移

不動産投資に関するご相談で「買い時はいつですか?」という質問を受けることが多くあります。
誰もが価格が安い(利回りが高い)ときに買って、価格が高い(利回りが低い)ときに売り抜けたいと考えているので、当然の質問と言えるでしょう。
この質問に対する答えの一つとして、価格変動に連動した融資金利について解説します。
2010年に1億円(NOI(運営純収入)700万円)の物件が販売されていたとします。
実質利回りが7%ですから、今の相場を考えると、この時に投資していれば大きなリターンを得ることが出来たはずです。
さて、ここで考えなければならないのが、不動産投資の利回りと融資条件の関係です。

投資の収益性比較。2010年と2017年の場合

物件価格:10000万円、購入費用:1000万円、投資総額:11000万円
実質利回り:2010年は7%、2017年は5%

時期の違いによる収益性の比較

★2010年:融資金利5%、融資期間20年、融資割合70%(7000万円の融資)

確かに投資利回りが高い時期ですが、この時期には融資金利も高く、融資割合も低いため、自己資本4000万円を投資しなければこの投資を始めることが出来ませんでした。
770万円(年額)の収入から550万円の返済をしますので、手残りは220万円(自己資本利回りは5.5%)となります。

★2017年:融資金利2%、融資期間30年、融資割合100%(10000万円の融資)

投資利回りは低くなりましたが、この時期は金利も安く、融資割合も高いため、自己資本1000万円で投資を始める事が出来ます。
550万円(年額)の収入から440万円の返済をしますので、手残りは110万円(自己資本利回りは11%)となります。
仮にあと3棟同じ条件で投資出来た場合、4000万円の投資に対し、440万円(2010年の2倍)のキャッシュフローを得る結果となります。

このように時期によって投資できる範囲が異なってくるのです。
利回りが高い時期は豊富な資金力がなければ、そもそも投資が出来ません。
一方、利回りが低い時期は、条件の良い融資が可能なので、自己資本利回りを上げることが出来ます。
したがって、「買い時はいつですか?」の回答は、分析して利回りが確保できれば投資はいつでも『可能』となります。

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DCR、LTVとは投資の安全性を測る指標である

最近の融資状況であれば、フルローンで投資を始めることも可能です。
自己資本をほとんど出さずに投資規模を広げる事が出来ますので、投資に適した時期とも言えます。
さて、不動産投資と融資は一体となっていること、融資と物件の利回りが連動していることが分かりました。最後に投資の安全性について解説します。

販売価格に対する融資割合を「LTV」という指標で表します。
LTV70%とすると販売価格1億円であれば、7000万円の融資が可能、若しくは7000万円の融資を受けることを意味します。
この割合が低いほど借り入れが少ないので安全性が増します。
次に、運営純収入(NOI)が年間返済(ADS)の何倍に値するかを表す指標を「DCR(デッドカバレッジレシオ)」といいます。
計算式は、「NOI÷ADS=DCR」となります。DCRは1.3が比較的安全とされる数値とされています。

具体的に見ていくと、NOIが150万円で、ADSが100万円の場合はDCR1.5(つまり返済の1.5倍の収入がある)となるので、比較的安全性が高い投資といえます。
NOIが100万円で、ADSが90万円であればDCR1.1となるで、少し空室期間が長くなっただけで、返済が厳しくなる(不足分は手元資金で返済)ので、安全性が低い投資といえます。

まとめ(DCRとLTVの関係性)

金利と返済期間が一定であれば、LTVを上げるとDCRは下がり、LTVを下げるとDCRは上がる相関関係にあります。

例えば、下記条件で投資をした場合で計算します。

★物件価格1億円、融資条件(金利2%、30年)、実質利回り5%(=NOI500万円)

①LTV=50%で投資した場合

5000万円の融資を組み、ADSは220万円となるので、NOI500万÷ADS220万=DCR2.27となります。

②LTV=100%で投資した場合

1億円の融資を組み、ADSは440万円となるので、NOI500万÷ADS440万=DCR1.1となります。

端的な表現を用いると「借入が多くなれば返済額があがるので、安全性が低くなる」ということになります。
つまり、収益性を高めるためにはLTVを上げて、安全性を高めるためにはLTVを下げるという事になります。
収益性と安全性のバランスが取れるLTVにすることで投資をコントロールする事が出来るのです。

収益性を高めるためにLTVを極限まで高めると、それだけ返済が大変になるので想定外の事態(予想より空室率が高い状況、修繕費が予想以上にかかるなど)に対応できなくなる恐れがあります。

現実には物件毎に収益性が異なり、投資家毎に資産背景、希望条件が異なるので、これなら安全という決まった数値はありません。
どの程度の安全性を確保すればよいか分からない場合は、専門家に相談してみたり、セミナーに参加してみたりするのもいいでしょう。

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2017年3月3日 1:03 PM カテゴリー: おすすめ, 不動産投資, 投資分析

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